2023年10月11日水曜日

味覚と後悔

 Utakeシロユキ、まもなく61歳はその美味しさに衝撃を覚えた。
彼の舌が60年の人生を後悔させる出来事だった。

近頃、朝食を摂るようになった彼の朝食は大抵決まっている。
納豆、塩鮭(もしくは明太子)、香の物だ。
今朝はその納豆が無い!更に塩鮭も明太子も無い!
男は愕然とした。さすがに香の物だけでは少し寂しい。
食卓の傍らにごま塩があるので、今日はそれでもふりかけて我慢するか?
と思いつつも、なにかないか?と冷蔵庫を開けて探ってみる。

すると、瓶に入ったおかずらしきものが目に入った。
男はすかさず手にとってそれを見つめた。

こ、これは・・・


桃屋の絶対的定番商品、「ごはんですよ!」だった。
ガキの頃からあったが、正直口にいれることは殆どなかった。
海苔の佃煮なんて・・というより、佃煮自体好きではなかった。
しかし、寂しい食卓を埋めるにはこいつを並べるしか選択肢はない。
そして、数十年ぶりにご飯に乗せて食べてみた。

う、うまい!!

思わず声が出た。
なぜオレは今までこの美味しさに気付かなかったのだろう?
ほぼ、海苔の佃煮だけで1杯の飯を食ってしまった。

長く食卓に上がってきた定番商品には訳がある。
いつの時代にも求められてきたからに他ならない。
スポットが当たることもなければ、話題に上がることもない。
しかし、脈々と受け継がれ、引き継がれていく。

定番には訳がある。


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